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2016年6月10日 (金)

ケイコの敗北-ペルー大統領選決戦投票

65日のペルー大統領選決選投票の結果は、全国選挙審議会(JNE)の発表を以って正式、となる。これを書いている610日(現地9日)の段階では発表されていないが、現地9日に全国選挙管理事務所(ONPE)が国際選挙監視団に伝えた通り、「変革へのペルー人(Peruanos por el Kambio、以下PPK)」のペドロ・パブロ・クチンスキー候補(以下、クチンスキー)の勝利は動くまい。「大衆勢力(Fuerza Popular、以下FP)」のケイコ・フジモリ候補(以下、ケイコ)の二度目の挑戦は、結局敗北に終わることになる。

それにしても、未集計の0.177%を除いても、投票総数1,831万票で、二人の得票差は4.13万、率にして0.244ポイントの僅差だ。54年も前の1962年に「アプラ党」の創設者、アヤデラトーレ(18951979)が「人民行動党(AP)」のベラウンデテリー(19122002)を破った時の0.8ポイント差を、54年ぶりに下回った。なお、アヤデラトーレ大統領就任を嫌う軍部の介入で、翌年再選挙となり、4.7ポイント差で後者が逆転している。 

http://okifumi.cocolog-wbs.com/blog/2016/04/post-6f33.html

で述べた通り、ケイコ候補は、総選挙での第一回目投票で40%の得票率で、21%で二位のクチンスキー候補に倍する大差を付けた。総議席130の議会で彼女のFPは、過半数の73議席を得た。PPK18議席で、第一回目投票では三位だったメンドーサ候補の中道左派「拡大戦線(FA)」の20議席を下回る。それから決選投票までの2ヶ月間近く、19ポイント差を引っ繰り返されて敗北した。2011年選挙でも敗北したが、引っ繰り返ったのは8ポイント差だった。今回選挙は、私にはどうにも後味が悪い。

選挙まで半月を残す5月央、FPの幹部が米国麻薬取締局(DEA)にマネーロンダリング容疑の捜査を受けている、とのテレビレポタージュが流され(本人は否定。ただ党の要職を辞任した)た。これを受けてペルーの検察が動き始めた旨伝わる。

531日、「フジモリズモ(フジモリ主義)」復活を嫌う、「Keiko no vaケイコは出るな」運動の大規模デモが、1992年のアルベルト・フジモリ(ケイコ氏の父親)による自己クーデターの24周年目に当る45日に続いて行われた。いずれも総選挙、及び決選投票の直前で、参加者は数万人規模のようだ。政治運動ではなく市民の組織によるもので、ブラジルのペトロブラス汚職に怒りルセフ大統領退任を求め、動員数150万とも300万とも言われる「Vem Pra Rua(街頭に繰り出せ)」運動にも似ているが、実態はよく分からない。ソーシャルネットワークで呼び掛けられる。

531日のデモには、上記メンドーサ氏や、3月に選挙辞退に追い込まれていた、それまでの有力候補だった、中道「みんなのペルー(Todos por el Peru)」のグスマン氏(それまではケイコ氏に次ぐ有力候補)ら政治家も参加し、ケイコ勝利を実現させぬため、としてクチンスキー候補への支持を訴えた。

その531日に行われた候補者討論で、クチンスキー氏が自らの豊かな経験を誇示した上で、争点を父親の強権政治に据え、ケイコ氏が父親のファーストレディーを務めていたことを持ち出し、「フジモリズモ」復活はペルーの民主主義への脅威、と強調した。加えて、ケイコが大統領になればペルーは「麻薬国家」になる、と言い始めた。 

ケイコ氏もクチンスキー氏も自由主義経済を信奉する。いずれも米国での生活経験があり、米人と結婚した。だが前者は留学しただけで、後者は軍政時代に米国に逃れ、そこでエコノミストとしての経験を積み、一旦帰国して、また戻る。在米期間の長さが半端ではなく、口の悪いペルー人からは、日本語で言えば「アメ公」に当るだろうか、「gringo」と呼ばれるようだ。加えて、ペルーでは首相を含む閣僚を歴任している。ケイコ氏のように選挙で公職に就いたことは無いが、経験の豊かさを誇示するだけのことはあろう。ただ、ケイコ氏の父親と同じ77歳で、ラ米諸国の首脳としては、キューバのラウル・カストロ議長に次ぐ高齢だ。

ロイターやAPAFPと言った欧米系メディアは、ケイコ氏には「人権侵害と汚職で25年懲役刑を宣されたアルベルト・フジモリ元大統領の娘」との修飾を付ける。父親がクーデターを起こし強権政治を敷いたことを強調する。ペルーのノーベル賞受賞者のバルガス・ジョサを始めとする知識層も、フジモリ憎し、の論評に余念が無いようだ。私には、以前書いたように、(http://okifumi.cocolog-wbs.com/blog/2009/04/post-a695.html

違和感を禁じえない。

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