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2014年2月 6日 (木)

二つの選挙-コスタリカとエルサルバドル(2)

エルサルバドルのここ5回の大統領選の立候補者数推移は;

7名(1994)→7名(1999)→4名(2004)→2名(2009)→3名(今回)

で、近年随分減っている。1994年には決戦投票も行われたほどだが、半世紀前に創設された、いわば伝統的政党の「キリスト教民主党(PDC)」と「国民和解党(PCN)」が、2009年から候補者を出さなくなった。

コスタリカの1994年からここ6回の推移をみると;

7名(1994)→12名(1998)→12名(2002)→8名(2006)→9名(2010)→10名(今回)でありあまり変わらない。決選投票は、平和憲法下の1948年以来、経験して来なかった。政権党は「国民解放党(PLN)」→「社会キリスト教連合党(PUSC)」→PUSC(二期連続)→PLNPLN(二期連続)と変遷した。 

今回のエルサルバドル大統領選では、大統領経験者の出馬が一つの特徴、と言える。2010年に創設され12年議会選で議会第三党になった「国民統合のための大同盟(GANA)」が、伝統政党のPDC及びPCNを加えて組成した「統一運動(Movimiento Unidad)」の候補が、サカ前大統領(在任2004-09)だ。名実共に民政移管して30年間、大統領になった6人の内、初代のナポレオン・ドゥアルテ(1925-90。在任1984-89)を除く5人の大統領は、全て40代、若くして任期満了を迎え、再出馬が無かったことの方が奇妙ではなかろうか。再選そのものが禁止、との憲法解釈があったのかも知れない。

サカ候補は一期おいての再出馬ながら、まだ49歳、決選投票に進むFMLNのサンチェスセレス(69歳)、ARENAのキハーノ(67歳)両候補の年齢と比べて、飛び抜けて若い。だが得票率は11%で、圧倒的最下位に終わった。彼はもともとARENAから大統領になった人だ。だが大統領任期満了の2009年、党から追放された。この年の大統領選は、上記の通り、世界的にも珍しい2候補だけの一騎打ちで、ARENA20年ぶりの敗北を喫した。その候補に不利な動きを行ったグループの背後にいた、との理由から、とされる。そのグループがGANAを立ち上げ、フネスFMLN政権と協力関係を持った。

だが、今回FMLN候補とは別途、大統領選に出馬した。お陰で、サンチェスセレス候補は勝利に僅か1ポイント足りないだけで、1994年選挙以来、20年ぶりの決選投票に進まねばならなくなった。同年第一位だったカルデロン候補(ARENA)の得票率も49%だった。

キハーノ候補は、1994年から5期続けて立法議員を務め、2009年に首都エルサルバドル市長に転進、2013年8月まで務めた。実力政治家と言えよう。これに対しサンチェスセレン氏の政治歴は2000年に連邦議員、2009年からは副大統領を務めている。彼はFMLN前身時代からゲリラ活動に携わり、1990年から始まった政府との和平交渉で代表団を率いて92年和平に繋げた実績を持つ。彼がキハーノ氏を破れば、左翼ゲリラ出身の大統領がこの国では初めて、民選大統領制のラテンアメリカ十八カ国でもオルテガ(ニカラグア)、ムヒカ(ウルグアイ)両氏に次ぐ3人目の大統領が誕生する(メディアによってはルセフ・ブラジル大統領もこのカテゴリーに挙げているが、私は違うと思う)。 

今回のコスタリカ大統領選で特徴的なのは、上記の通り、候補者の誰もが勝利に必要な40%以上の得票率を挙げられなかった、という点ではなかろうか。大体がPLN対もう一つの有力政党(1986年以降はPUSC)乃至は政党連合候補の一騎打ちの様相を見せてきたためか、第一位の得票が40%を下回ったことは、一度も無い。決選投票は、エルサルバドルの20年ぶりどころではない。

今回PLN候補となったアラヤモンヘ(56歳)氏は、若くして首都のサンホセ市長になり22年務め、政治家としての知名度も実績も抜群、とされる。事前の世論調査では常に第一位を守っていた。蓋を開けると「市民行動党(PAC)」)候補のルイス・ソリス(55歳)氏に、僅差とは言え第一位を取られていた。彼には、同じPLN政権下で外相や大使を務めた経験こそあれ、議員や自治体首長など政治活動家としての実績が無い。2005年にはPACに鞍替えした人だ。事前の世論調査では第四位に過ぎなかった。これがコスタリカ内外の専門家を驚かせている。なおPACと言えば、2006年にPLN候補でノーベル平和賞受賞者、且つ元大統領の41%に僅か1ポイント差で敗退したオットン・ソリス氏を思い浮かべるが、姻戚関係がどうか、私には分からない。

第三位につけたのは、「拡大戦線(FA)」の、弱冠36歳で、環境保護運動家として知られるビジャルタ候補で、得票率は17%だった。実は、世論調査ではトップのアラヤモンヘ氏を僅差で追っていた。FA自体は2004年、左派勢力によって結成され、2006年以降今日まで、定数57議席の立法議会で1議席という弱小政党だ。その唯一の議員がビジャルタ氏である。第四位は11%の得票を挙げた、今回が連続四度目の大統領選出馬となる「自由運動(ML)」のゲバラ(53歳)候補だ。前回は第三位で、21%を獲得していた。ML自体も議会進出した1998年時は1議席しか確保できなかった。彼が初立候補した2002年には6議席を獲得、その後10議席にまで増やしている。

コスタリカの立法議会選挙で各党の最終議席配分は、同国の最高選挙裁判所のホームページを見ているが、現地の25日段階でははっきりしない。Wikipediaスペイン語版では、PLN18議席、以下同)、PAC14)、FA9)、PUSC8)、ML3)の順番となっている。PUSCの大統領候補の得票率は僅か6%で第五位だった。

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