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2014年1月30日 (木)

OAS復帰を否定するキューバ

12829日にハバナでラテンアメリカ・カリブ共同体(CELAC)第二回サミットが開催された。一年前にサンティアゴで第一回目が行われたが(http://okifumi.cocolog-wbs.com/blog/2013/01/celac-eu-35ac.html)、その際に参集した欧州連合(EU)首脳は出席者の中に見当たらない。だが、ラテンアメリカ、カリブ全33ヵ国の内パナマとエルサルバドルを除く31ヵ国の首脳が一同に会した。パナマは北朝鮮向け武器問題を抱えており、エルサルバドルは22日の総選挙を控えている(やはり同日に総選挙を控えたコスタリカは、CELACの持ち回り議長をキューバから引き継がなければならず、欠席はできない)。

「国同士で武力を交えることの永遠に無い平和の地域」を「ハバナ宣言」で読み上げた今回サミットは、歴史的、と称えられた、と伝えられる。 

このサミットには、国連の潘基文事務総長が出席した。非同盟諸国サミットに出席した前任者のアナン氏以来、この国を国連事務総長が訪問するのは7年半ぶりだ。全体会合での演説や、フィデル・カストロ前議長への表敬訪問など、よく動いた。一方、インスルサ米州機構(OAS)事務総長も招かれた。インスルサ氏自身は、1996年、チリ外相の立場でキューバ訪問経験はある。今回はOASのトップ、としての訪問だ。1948年の創設からこの方、OASのトップがキューバ入りすることは無かった。キューバのOAS復帰を囃す向きもあったのではなかろうか。ただ、オブザーバー資格であり、彼の動きは殆ど伝わって来ない。

コスタリカ首脳級のキューバ訪問は、フェレール元大統領(立憲大統領としての在任1953-571970-74)が現役を離れていた1962年以来のことだ。持ち回り議長国の引継ぎが無ければ、どうだっただろうか。

チリからは、ピニェラ現、バチェレ次期大統領の二人がやって来た。27日、ハーグの国際司法裁判所がペルーとの領海に関わる訴訟でペルーに有利となる裁定を下した。私はCELACの場とは言え、ウマラ・ペルー大統領との同席を望むか気になった。チリは、ハバナにおけるコロンビア革命軍(FARC)とコロンビア政府との和平対話立会い国を務めており、欠席は有り得ない、との思いはあった。結果として、この裁定をチリが認め、対ペルー領海問題終止符宣言を行ったことで、杞憂に終わった。ハバナでは、記者団の前で両国首脳が握手している。 

昨年10月、フェルナンデス大統領が慢性硬膜下血腫の除去手術以来、暫く入院し、一旦復帰したが、1210日以来公の場に姿を見せていなかった。1月下旬の再復帰後間もなく、アルゼンチン・ペソが大幅に下落した。その中にあって、CELAC開催の3日前にハバナ入りし、2日前にフィデル・カストロ前議長と昼食を共にした。アルゼンチンでは昨年の中間選挙で与党の議席が減少、2015年の大統領選に彼女が憲法改正をしてまでも連続三選を目指して出馬する、というシナリオは無くなった。多少、気落ちしているのだろうか。

一方のフィデル氏だが、潘基文氏の表敬を受けた他、ルセフ・ブラジル、ペーニャニエト・メキシコ領大統領とは個別に、またオルテガ・ニカラグア、モラレス・ボリビア及びコレア・エクアドル各大統領とは合同で面談の場を持った。確か、マドゥーロ・ベネズエラ大統領とも会っている。一様に、彼が元気で、記憶力が良く、よく喋る、と語る。 

昨年末、南アのマンデラ元大統領葬儀に参列したラウル・カストロ議長が、同席していたオバマ米大統領と握手を交わしたこと、加えてフィデル・カストロ氏がこれを高く評価したことで、対米関係改善の兆し、と捉えた向きも多かった。その直ぐ後に、キューバ国民の米国移住に関する協定が結ばれた。もっと言えば、昨年2月来、キューバ国民の外国旅行制限が大きく緩和されている。個人による新車購入も解禁された。人権問題を理由に続いてきた欧州連合(EU)の共通外交政策が(ホームページ内のラ米の政権地図左派政権の国々ご参照)、近々解除される方向にある。そんな中で米国は半世紀にも亘り、国際的非難も馬耳東風と、執拗にキューバ制裁を継続してきた。

米国が目の敵にするカストロ兄弟は、87歳と82歳である。キューバの自由化を目的とする制裁だが、キューバは明らかにその方向に進んでいる。CELAC33ヵ国全てが、米国によるキューバ制裁を非難している。国連総会でも、毎年、非難決議が繰り返されている。CELACサミットを、歴史的成功、と言われるほど、こなした。オバマ政権こそ在米キューバ人の里帰りや家族送金の規制を撤廃したが、継続される保証は無い。今、米国民のキューバ渡航自由化の動きが囁かれてはいるが、その実現までは、米国の今年の中間選挙の結果を見ないことには、楽観できまい。 

キューバ政府はあくまでCELACの持ち回り議長国として「外交上の礼儀で」OAS事務総長をキューバに招請した、との立場は崩していない。キューバの方から、米国が強い影響力を及ぼすOASに、半世紀もの間追放され続けたことを恩讐の彼方に、復帰する、とは言えまい。次回米州サミットの際、何らからの動きを期待したい。

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2014年1月29日 (水)

エルナンデス政権のスタート-ホンジュラス

127日、ホンジュラスでエルナンデス大統領の就任式が行われた。http://okifumi.cocolog-wbs.com/blog/2013/11/post-bad8.htmlで述べたが昨年1124日に行われた総選挙の得票率は、次点のカストロ氏(セラヤ前大統領の夫人)に8ポイント差の37%で、この国では決選投票の制度が無いため、当選が確定していた。この数字は選挙不正の結果であるとして抗議活動を繰り返し、無効を訴えていたセラヤ氏も、1224日になって漸く矛先を納め、不承不承ながらエルナンデス当選を受け容れた。ただエルナンデス氏が犯罪組織と関わりあいのあるメンバーがセラヤ氏率いる「自由と再生の党(Libre)」の議員団の中にいる、などと発言したため、その抗議を兼ね、同党は就任式をボイコットした。

就任式で、新大統領は、犯罪集団に鉄槌を下す、と、昨年8月に創設された軍警察5千人に対し、直ちに出動するよう命令を下した。彼はまた、世界で人口当たりの殺人件数が最も多い(国連による)この国の最悪の治安状況は、麻薬組織の跳梁による、として、麻薬との戦いに、最終向け地米国のオバマ大統領に協力を呼び掛けた。また、生産国のコロンビア、向け地のメキシコ及び中米各国大統領に対しては、この分野での確固たる支援に謝意を述べた。 

「中米の父」モラサン(1792-1842)の生地であるホンジュラス。グァテマラ、エルサルバドル、ニカラグア及びコスタリカと共に、中米諸州連合(中米連邦)を構成していた。連邦は、面積で、分解してしまったラテンアメリカ諸国の基準からみても、小国だった。モラサンはこの統合国家の維持、発展に心血を注いだ。だがグァテマラに始まった連邦離脱の流れはホンジュラスにも波及し、1839年までに連邦が事実上の解体に追い込まれた。この一小国が、さらに小さい5ヵ国になった。

それから一世紀以上経って、平和憲法下、軍を持たないコスタリカを除く4ヵ国の内のグァテマラ、エルサルバドル及びニカラグアの3ヵ国が、1980年代の「中米危機」で長い内戦を経験した。最近のシリア情勢をテレビなどで見る度、これを想起してしまう。唯一の例外が、ホンジュラスだ。ただ、軍政を経験した(196310月~821月。ホームページ中の軍政時代をご参照)。その意味で、当時軍人による強権政治を敷いていたグァテマラとエルサルバドルは、重なる部分もある。

中米五ヵ国の中で、ホンジュラスに唯一際立っている政治風土は、一世紀以上も「国民党(PNH)」と「自由党(PLH)」による二大政党制が、軍政を経ても続いてきた、と言う事だろう。大統領候補者が選挙の都度組成(グァテマラ)、文民政権時代に入って結成された二大政党(エルサルバドル)、抜きん出た政権与党(ニカラグア)、繰り返す新党台頭(コスタリカ)、と、どこにも伝統政党が見えない。

この国の二大政党制はしかし、今は崩れた。軍政期を終えても、この国の定数128議席の議会で二桁の議席を得た政党は、2009年の前回選挙まで、二大政党以外では皆無だった。

ロボ前政権期に71もあった国民党の議席数は、エルナンデス政権期になって僅か48、過半数には遠く及ばない。さらに前代のセラヤ政権(2006-09。与党は自由党)の野党だった55にも及ばない。それでも政権を担うことになる。そのセラヤ元大統領が現在率いる新党のLibreが、いきなり37議席(一人離党した由で36、との報道もある)、議会第二党として台頭した。歴史的にPNHと政権交代を繰り返してきたPLH27議席で、第三党だ。また「反不正党(PA)」という新党が13議席を得ている。

ラテンアメリカでは国民の一人当たり所得(購買力ベース)がニカラグアに次いで低い貧困対策が、重要政策課題だろう。だが喫緊の課題が治安対策であることは明確だ。貧困ゆえのみではなく、明らかに麻薬犯罪もこれに絡んでいる。メディアによれば、エルナンデス政権は自由党との連立のようだ。世界最悪の治安に対しては、両党間の政争などしておれない。 

エルナンデス氏は196810月生まれの45歳、民政移管後32年の歴史の中で、大統領としては飛び抜けて若い。30歳で国会議員になった。41歳で、国会議長に就任した。かなりの大物だろう。4年間大統領を務め上げて未だ49歳だ。憲法上は大統領には一度しかなれない。これを変えようとしたセラヤ大統領(当時)は、20096月、クーデターで追放された。そのセラヤ氏が、彼の最大の政敵になっている。大統領再選への道を求めて、この二人が手を組むことはないのだろうか。 

この日、軍、警察から安全確保のため、6千人が動員された。そのような治安情勢に及び腰になったのかどうか、就任式に首脳が出席したのは、域外の台湾とコソボを含む6名。旧連邦首脳は、コスタリカのチンチーヤ大統領のみだ。他3ヵ国は、代理出席となった。その他のラテンアメリカ域内首脳で出席したのは、マルティネッリ(パナマ)、メディーナ(ドミニカ共和国)及び、サントス・コロンビア各大統領となっている。また、旧宗主国のスペインから、近年、王室外交を担っているフェリペ皇太子も出席しているので、治安問題はあまり関係ないかも知れない。また米州機構(OAS)からはインスルサ事務総長が出席した。

チンチーヤ、メディーナ、サントス各大統領とフェリペ皇太子及びインスルサ事務総長はこの後、翌28日から第二回ラテンアメリカ・カリブ共同体(Celac)サミットが行われるハバナに向かった。エルナンデス大統領も同様である。マルティネッリ大統領のみは、キューバ船による北朝鮮向け兵器輸送問題を抱えており、出席を断念した。

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2014年1月10日 (金)

2014年ラテンアメリカ選挙(2)

54日、コロンビアの大統領選に先立って、パナマの総選挙が行われる。同国議会は小選挙区26、中大選挙区(比例代表性採用)45の計71議席で構成されるが、議会のホームページを見ても、私には夫々の選出議員の区別が付かない。ただ、2009年選挙の獲得議席数と現在の所属議員を比較すると、その変貌には驚かされる。

 「民主変革(CD)」:1236議席で、三倍増

 「パナメニスタ党(PAN)」:1912議席

 「民主革命党(PRD)」:2217議席

 他の4党:85議席

 無所属:100議席 

無所属が多かったことの他、他のラ米諸国には珍しい小選挙区の存在で、議員が任期中に多党に鞍替えし易いことが挙げられよう。

前回選挙では夫々CDPANは他2党と共に「変革同盟」を組成し、マルティネッリ大統領当選を実現させた。今回の大統領選には両党が夫々ドミンゴ住宅相(51歳)、及びバレラ副大統領(50歳)を出馬させる。後者は20118月の変革同盟離脱まで現政権の外相を務めた。辞任後も、民選の副大統領の地位は保持できる。

PRDからはナバロ元パナマ市長(52歳)が出馬する。その他にも創設されて間もない「拡大戦線(FA)」から建設業労組のロペス事務局長(59歳)と、ほか無所属系3名も立候補する。

この国の大統領選では、ラ米で一般的な決選投票が無いことをマルティネッリ現大統領が嘆いていたが、今回選挙でどうなるか、加えて各候補者の有力度を測る世論調査についても、現時点では私は情報を掴んでいない。 

105日には、ラ米最大国のブラジルが総選挙だ。「労働者党(PT)」のルセフ大統領(66歳)の連続再選の可否、最近では彼女が決選投票に進むことなく勝利するかどうかが注目されている。カリスマ性が強い前任者でPT創設者のルラ氏ほどではなくとも、国民の6070%高支持率は、しかし、公共交通料金引き上げを切っ掛けに全国規模に広がった201367月の抗議デモ頻発で、褪せた。

現段階で出馬が決まっている有力候補には、他に、「ブラジル社会民主党(PSDB)」からネヴェス前ミナスジェライス州知事(53歳)、「ブラジル社会党(PSB)」からカンポス・ペルナンブーコ州知事(53歳)がいる。立候補締め切りは6月末なので、他に誰が出るか分からないが、前回選挙でルセフ氏と決選投票で争ったPSDBのセラ元サンパウロ州知事は出ず、また環境問題で国際的にも名前が知れ、前回選挙に元々所属していたPTを離れ得票率で第三位に付けたシルヴァ氏(女性)は、今回はカンポス氏支援に回る。最新の世論調査では投票相手として、ルセフ氏が4割台、ネヴェス氏が2割台、カンポス氏が1割台となっているが、これからも立候補者が次々に出てくるので、先走った見通しは控えたい。

ブラジル議会は、任期4年の下院はラ米で一般的な比例代表制(27ブロック単位)を採るが、同8年で、毎回半数選出の上院は27ブロック毎に、3議席ずつを配分する選挙区制が特徴となっている(うち1名は個人ベースで、最多得票者が選出される小選挙区)。ともあれ、多党ぶりが目に付く。下院513議席を18党・ブロックが分け合う。81議席の上院も16党が分け合っている。下院で二桁の議席を擁するのが14党もある。敢えて五大政党を記すと;

 PT:上院12議席、下院88議席

 ブラジル民主運動党(PMDB):同2176

 「進歩党(PP)」ブロック:同558

 PSDB:同1245

 「民主社会党(PSD)」:同142

であり、合わせても上院51議席、下院309議席でいずれも六割を占めるに過ぎない(議席数はブラジル上、下院の夫々のホームページによる)。誰が大統領になろうと、多党との連携は不可避だ。逆に、例えば、下院議席数で第8番目の政党のPSBの候補にも大きなチャンスが出る。 

105日にはボリビアでも総選挙が実施される見込みだ。前回選挙は2009年1月の新憲法制定を受けた形で、同年12月6日に行われた。それまでモラレス大統領の任期を僅か1ヵ月半に控えてのタイミングで、決選投票のことを考えれば極めて窮屈な日程だった。ただ、上記日程は5月末までに確定されるようだ。新憲法では、大統領任期が5年(以前は4年)、一度に限り連続再選可能(以前は禁止)、とした。20134月、最高裁判所が、モラレス大統領は、今期を新憲法下の第一期とし、2014年選挙までの連続出馬が可能、との判断を下した。

議会状況は、ベネズエラに似る。圧倒的政権与党、「社会主義運動(MAS)」が同国の「統一社会党(PSUV)」が、これへの対抗軸としての野党連合が「ボリビア進歩計画連合(PPB-CN)」が同国の「民主統一会議(MUD)」に相当しよう。ただ決定的な違いは、2009年選挙時に組成された野党連合が、2014年選挙では分裂、つまり一期だけで終わりそうな状況下にある、ということだ。

現在の議会勢力で見ると、MASの議席数は上院定数36の内の26、下院定数130の内の88を占める。これに対しPPB-CNは夫々1037に過ぎない。上院は全国9県ごとに4名ずつを比例代表で選出する。下院は比例代表60議席、小選挙区70議席(内7議席は先住民特別枠)に分かれる。MAS議席中、小選挙区選出の2名がMASを決別した「恐れない運動(MSM)」に移動し、先住民特別枠にMASから出た6名が離脱を表明している。それでも、MASの圧倒的強さには変わりない。

大統領候補は、正式には未だ出揃っていない。PPB-CNの行方もある。 MASのモラレス氏(54歳)が連続再選を狙うのは間違いなかろう。議会第三党とは言え、議席数が僅かに3の小党、「国民連合(UN)」は、2003年に同党を創設したドリアメディーナ氏(61歳)の出馬が、PPB-CN の一角にある「国民革命運動(MNR)」(1952年のボリビア革命を起こした。私のホームページからラ米の革命ボリビア革命参照)と組むことを含め、取り沙汰される。

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2014年1月 7日 (火)

2014年ラテンアメリカ選挙(1)

2013年には、エクアドル、パラグアイ、ホンジュラス、チリの4カ国で大統領と国会議員を選出する総選挙が、また、ベネズエラで大統領選、アルゼンチンで議会中間選挙が行われ、5カ国の大統領が決まった。ホンジュラスの大統領選結果については、セラヤ前大統領は選挙無効を事実上取り下げ、不承不承ながらもエルナンデス候補の勝利を認めた。一方で、ベネズエラでは野党候補だったカプリーレス氏は、勝者でとっくに大統領に就任し国際的にも認知が浸透しているマドゥーロ氏を、大統領として認めていない状況にある。 

ここで確認しておきたいが、ラ米では総選挙が一般的だ(私のホームページからラ米の政権地図ラ米諸国の選挙制度をご参照願いたい)。上記ではベネズエラと、部分的にはアルゼンチンが例外だ。また、大統領選では第一位の候補者が一定の得票率(大半が50%+1票)に満たない場合、決選投票に進む。上記ではパラグアイ、ホンジュラス及び、ここでもベネズエラが例外となる。

2014年は、コスタリカ、パナマ、ブラジル、そしてボリビアの4カ国で総選挙が、エルサルバドルで大統領選が、コロンビアで議会選と大統領が行われ、6カ国の大統領が決まる。総選挙で無い点で2カ国が、決選投票が行われないことでパナマが例外だ。 

22日、コスタリカでは総選挙が、またエルサルバドルでは大統領選挙のみが行われる。後者は大統領任期が5年に対し、国会議員任期は3年なので、ラ米では変則的と言える。決選投票に進むのは、第一位の候補者の得票率が、前者は40%以下、後者が50%以下の場合だ。 

コスタリカの与党、「国民解放党(PLN)」は、アラヤモンヘ・サンホセ市長(56歳)を出馬させる。国会における同党の現行議席は全57議席中24、少数与党だが、世論調査では最有力候補、となっている。

彼を僅差で追うのは、議会では1議席だけの「拡大戦線(FA)」から出馬するビジャルタ議員で、36歳、と非常に若い。

議席数では11で最大野党の「市民行動党(PAC)」からは、政治学者のソリスリベラ・コスタリカ大学教授が、伝統政党だが議席数6と低迷する「キリスト教社会統一党(PUSC)」からはピサ元社会保険庁長官が出るが、世論調査では人気は今ひとつのようだ。

議会第三党で10議席を有する「自由運動(ML)」のオットーゲバラ元議員(53歳)は、2002年から連続4度目の出馬となる。 

エルサルバドルの与党「ファラブンドマルティ解放戦線(FMLN)」も全84議席中31の少数与党だ。同党からは、現フネス大統領とは異なり、内戦時代のゲリラ闘士として知られるサンチェスセレン副大統領(69歳の)を出馬させる。

対抗するのは、FMLNを差し置いて33議席の議会第一党、「国民共和同盟(ARENA)のキハーノ現サンサルバドル市長(67歳)、及び、前回議会選を前にARENAを離脱した勢力が中心になって創設し11議席を得た「国民統合大同盟(GANA)」から出馬するサカ前大統領(48歳)の二人に絞られる。前職者が再出馬するのは現1983年憲法下ではサカ氏が初めてとなる。 

39日にはコロンビアの議会選挙が行われる。大統領選挙はそれから2ヵ月半を過ぎた525日に行われる。

「国民社会統合党(la “U”)」は上院全102議席中25、下院全164議席中49(いずれも同党のホームページによる)で議会第一党だが、現行の「国民連合(UN)」で見ると、夫々80139議席とされる。議会第二、三党の保守党(夫々2236議席。出所はWikipedia)の大半と自由党(同1738議席。同)、急進改革党(同716。出所は同党ホームページ)が参加する。la “U”から出るサントス大統領(62歳)の連続再選に、UNとしての支援が確定されるだろうか。

何故かと言えば、UNの枠組みは、ウリベ前大統領(la “U”創設者)が、サントス氏を大統領に担ぎ出す際に出来たもので、今ハバナで行われているコロンビア革命軍(FARC)との和平対話に反発するウリベ氏がサントス政権と袂を分かち、「ウリベ民主センター(UCD)」を結成(従って議席数はゼロ)し、ここからla “U”の元上院議員だったスルアガ前蔵相(52歳)を出馬させるからだ。最近の世論調査によればサントス氏に次ぐ第二位に付けている。勝てばFARCとの和平対話は直ちに止める、と公言する。一方、サントス氏は和平を結実して選挙を有利に進めたいところだ。

小党ながら「代替民主の極(PDA)」(議席数は上院5、下院5)のロペス党首(女性。62歳)や、「緑の同盟」(同53)には予備選次第だが、ペニャロサ元ボゴタ市長(59歳)もいる。

 

(続く)

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