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2014年1月10日 (金)

2014年ラテンアメリカ選挙(2)

54日、コロンビアの大統領選に先立って、パナマの総選挙が行われる。同国議会は小選挙区26、中大選挙区(比例代表性採用)45の計71議席で構成されるが、議会のホームページを見ても、私には夫々の選出議員の区別が付かない。ただ、2009年選挙の獲得議席数と現在の所属議員を比較すると、その変貌には驚かされる。

 「民主変革(CD)」:1236議席で、三倍増

 「パナメニスタ党(PAN)」:1912議席

 「民主革命党(PRD)」:2217議席

 他の4党:85議席

 無所属:100議席 

無所属が多かったことの他、他のラ米諸国には珍しい小選挙区の存在で、議員が任期中に多党に鞍替えし易いことが挙げられよう。

前回選挙では夫々CDPANは他2党と共に「変革同盟」を組成し、マルティネッリ大統領当選を実現させた。今回の大統領選には両党が夫々ドミンゴ住宅相(51歳)、及びバレラ副大統領(50歳)を出馬させる。後者は20118月の変革同盟離脱まで現政権の外相を務めた。辞任後も、民選の副大統領の地位は保持できる。

PRDからはナバロ元パナマ市長(52歳)が出馬する。その他にも創設されて間もない「拡大戦線(FA)」から建設業労組のロペス事務局長(59歳)と、ほか無所属系3名も立候補する。

この国の大統領選では、ラ米で一般的な決選投票が無いことをマルティネッリ現大統領が嘆いていたが、今回選挙でどうなるか、加えて各候補者の有力度を測る世論調査についても、現時点では私は情報を掴んでいない。 

105日には、ラ米最大国のブラジルが総選挙だ。「労働者党(PT)」のルセフ大統領(66歳)の連続再選の可否、最近では彼女が決選投票に進むことなく勝利するかどうかが注目されている。カリスマ性が強い前任者でPT創設者のルラ氏ほどではなくとも、国民の6070%高支持率は、しかし、公共交通料金引き上げを切っ掛けに全国規模に広がった201367月の抗議デモ頻発で、褪せた。

現段階で出馬が決まっている有力候補には、他に、「ブラジル社会民主党(PSDB)」からネヴェス前ミナスジェライス州知事(53歳)、「ブラジル社会党(PSB)」からカンポス・ペルナンブーコ州知事(53歳)がいる。立候補締め切りは6月末なので、他に誰が出るか分からないが、前回選挙でルセフ氏と決選投票で争ったPSDBのセラ元サンパウロ州知事は出ず、また環境問題で国際的にも名前が知れ、前回選挙に元々所属していたPTを離れ得票率で第三位に付けたシルヴァ氏(女性)は、今回はカンポス氏支援に回る。最新の世論調査では投票相手として、ルセフ氏が4割台、ネヴェス氏が2割台、カンポス氏が1割台となっているが、これからも立候補者が次々に出てくるので、先走った見通しは控えたい。

ブラジル議会は、任期4年の下院はラ米で一般的な比例代表制(27ブロック単位)を採るが、同8年で、毎回半数選出の上院は27ブロック毎に、3議席ずつを配分する選挙区制が特徴となっている(うち1名は個人ベースで、最多得票者が選出される小選挙区)。ともあれ、多党ぶりが目に付く。下院513議席を18党・ブロックが分け合う。81議席の上院も16党が分け合っている。下院で二桁の議席を擁するのが14党もある。敢えて五大政党を記すと;

 PT:上院12議席、下院88議席

 ブラジル民主運動党(PMDB):同2176

 「進歩党(PP)」ブロック:同558

 PSDB:同1245

 「民主社会党(PSD)」:同142

であり、合わせても上院51議席、下院309議席でいずれも六割を占めるに過ぎない(議席数はブラジル上、下院の夫々のホームページによる)。誰が大統領になろうと、多党との連携は不可避だ。逆に、例えば、下院議席数で第8番目の政党のPSBの候補にも大きなチャンスが出る。 

105日にはボリビアでも総選挙が実施される見込みだ。前回選挙は2009年1月の新憲法制定を受けた形で、同年12月6日に行われた。それまでモラレス大統領の任期を僅か1ヵ月半に控えてのタイミングで、決選投票のことを考えれば極めて窮屈な日程だった。ただ、上記日程は5月末までに確定されるようだ。新憲法では、大統領任期が5年(以前は4年)、一度に限り連続再選可能(以前は禁止)、とした。20134月、最高裁判所が、モラレス大統領は、今期を新憲法下の第一期とし、2014年選挙までの連続出馬が可能、との判断を下した。

議会状況は、ベネズエラに似る。圧倒的政権与党、「社会主義運動(MAS)」が同国の「統一社会党(PSUV)」が、これへの対抗軸としての野党連合が「ボリビア進歩計画連合(PPB-CN)」が同国の「民主統一会議(MUD)」に相当しよう。ただ決定的な違いは、2009年選挙時に組成された野党連合が、2014年選挙では分裂、つまり一期だけで終わりそうな状況下にある、ということだ。

現在の議会勢力で見ると、MASの議席数は上院定数36の内の26、下院定数130の内の88を占める。これに対しPPB-CNは夫々1037に過ぎない。上院は全国9県ごとに4名ずつを比例代表で選出する。下院は比例代表60議席、小選挙区70議席(内7議席は先住民特別枠)に分かれる。MAS議席中、小選挙区選出の2名がMASを決別した「恐れない運動(MSM)」に移動し、先住民特別枠にMASから出た6名が離脱を表明している。それでも、MASの圧倒的強さには変わりない。

大統領候補は、正式には未だ出揃っていない。PPB-CNの行方もある。 MASのモラレス氏(54歳)が連続再選を狙うのは間違いなかろう。議会第三党とは言え、議席数が僅かに3の小党、「国民連合(UN)」は、2003年に同党を創設したドリアメディーナ氏(61歳)の出馬が、PPB-CN の一角にある「国民革命運動(MNR)」(1952年のボリビア革命を起こした。私のホームページからラ米の革命ボリビア革命参照)と組むことを含め、取り沙汰される。

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