2014年ラテンアメリカ選挙(1)
2013年には、エクアドル、パラグアイ、ホンジュラス、チリの4カ国で大統領と国会議員を選出する総選挙が、また、ベネズエラで大統領選、アルゼンチンで議会中間選挙が行われ、5カ国の大統領が決まった。ホンジュラスの大統領選結果については、セラヤ前大統領は選挙無効を事実上取り下げ、不承不承ながらもエルナンデス候補の勝利を認めた。一方で、ベネズエラでは野党候補だったカプリーレス氏は、勝者でとっくに大統領に就任し国際的にも認知が浸透しているマドゥーロ氏を、大統領として認めていない状況にある。
ここで確認しておきたいが、ラ米では総選挙が一般的だ(私のホームページからラ米の政権地図のラ米諸国の選挙制度をご参照願いたい)。上記ではベネズエラと、部分的にはアルゼンチンが例外だ。また、大統領選では第一位の候補者が一定の得票率(大半が50%+1票)に満たない場合、決選投票に進む。上記ではパラグアイ、ホンジュラス及び、ここでもベネズエラが例外となる。
2014年は、コスタリカ、パナマ、ブラジル、そしてボリビアの4カ国で総選挙が、エルサルバドルで大統領選が、コロンビアで議会選と大統領が行われ、6カ国の大統領が決まる。総選挙で無い点で2カ国が、決選投票が行われないことでパナマが例外だ。
2月2日、コスタリカでは総選挙が、またエルサルバドルでは大統領選挙のみが行われる。後者は大統領任期が5年に対し、国会議員任期は3年なので、ラ米では変則的と言える。決選投票に進むのは、第一位の候補者の得票率が、前者は40%以下、後者が50%以下の場合だ。
コスタリカの与党、「国民解放党(PLN)」は、アラヤモンヘ・サンホセ市長(56歳)を出馬させる。国会における同党の現行議席は全57議席中24、少数与党だが、世論調査では最有力候補、となっている。
彼を僅差で追うのは、議会では1議席だけの「拡大戦線(FA)」から出馬するビジャルタ議員で、36歳、と非常に若い。
議席数では11で最大野党の「市民行動党(PAC)」からは、政治学者のソリスリベラ・コスタリカ大学教授が、伝統政党だが議席数6と低迷する「キリスト教社会統一党(PUSC)」からはピサ元社会保険庁長官が出るが、世論調査では人気は今ひとつのようだ。
議会第三党で10議席を有する「自由運動(ML)」のオットーゲバラ元議員(53歳)は、2002年から連続4度目の出馬となる。
エルサルバドルの与党「ファラブンドマルティ解放戦線(FMLN)」も全84議席中31の少数与党だ。同党からは、現フネス大統領とは異なり、内戦時代のゲリラ闘士として知られるサンチェスセレン副大統領(69歳の)を出馬させる。
対抗するのは、FMLNを差し置いて33議席の議会第一党、「国民共和同盟(ARENA)のキハーノ現サンサルバドル市長(67歳)、及び、前回議会選を前にARENAを離脱した勢力が中心になって創設し11議席を得た「国民統合大同盟(GANA)」から出馬するサカ前大統領(48歳)の二人に絞られる。前職者が再出馬するのは現1983年憲法下ではサカ氏が初めてとなる。
3月9日にはコロンビアの議会選挙が行われる。大統領選挙はそれから2ヵ月半を過ぎた5月25日に行われる。
「国民社会統合党(la “U”)」は上院全102議席中25、下院全164議席中49(いずれも同党のホームページによる)で議会第一党だが、現行の「国民連合(UN)」で見ると、夫々80、139議席とされる。議会第二、三党の保守党(夫々22、36議席。出所はWikipedia)の大半と自由党(同17、38議席。同)、急進改革党(同7、16。出所は同党ホームページ)が参加する。la “U”から出るサントス大統領(62歳)の連続再選に、UNとしての支援が確定されるだろうか。
何故かと言えば、UNの枠組みは、ウリベ前大統領(la “U”創設者)が、サントス氏を大統領に担ぎ出す際に出来たもので、今ハバナで行われているコロンビア革命軍(FARC)との和平対話に反発するウリベ氏がサントス政権と袂を分かち、「ウリベ民主センター(UCD)」を結成(従って議席数はゼロ)し、ここからla “U”の元上院議員だったスルアガ前蔵相(52歳)を出馬させるからだ。最近の世論調査によればサントス氏に次ぐ第二位に付けている。勝てばFARCとの和平対話は直ちに止める、と公言する。一方、サントス氏は和平を結実して選挙を有利に進めたいところだ。
小党ながら「代替民主の極(PDA)」(議席数は上院5、下院5)のロペス党首(女性。62歳)や、「緑の同盟」(同5、3)には予備選次第だが、ペニャロサ元ボゴタ市長(59歳)もいる。
(続く)
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