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2013年4月16日 (火)

チャベス後継、僅差の勝利

 

414日のベネズエラ大統領選では、ベネズエラ全国選挙評議会(CNE)によれば、マドゥーロ候補の得票が7,564千票で、カプリーレス候補の7,298千票を266千票上回った。得票率で前者は50.8%、後者は49%、つまり1.8ポイントと言う僅差だ。翌15日、CNEはマドゥーロ候補勝利を宣告した。18,094千人の有権者の内、投票したのはその80%14,984千人と言うから、投票率はかなり高かった、と言えよう。

 

彼の勝利への祝意は一番目にラウル・カストロ・キューバ議長から寄せられた。その後もルセフ・ブラジル、ウマラ・ペルーなど域内主要国大統領、乃至は殆どのラ米諸国の政府から祝意が寄せられている。また、ベネズエラが加盟するメルコスルも、選挙が高い投票率で行われ透明性も高く、民主的だった、として勝者のマドゥーロ氏に祝意のメッセージを送った。何人かの首脳は、419日の就任式に参加を決めている。

一方、カプリーレス陣営は選挙不正があった、として、結果受け入れを拒否、全票の再集計を求め、これを米国及び米州機構(OAS)が後押しする。またメルコスルから資格停止扱いを受けているパラグアイも、これに同調している。これに対しCNEは、ベネズエラでは投票が機械化されていて、自動的に読み込まれた中身は54%がプリントアウトされる仕組みとなっている、として、100%全ての再集計はしない方針のようだ。ただCNEの一部の委員にもカプリーレス陣営の反発先鋭化回避には100%再集計にも応じた方が良い、という意見もある、とする報道も目につく。

 

ともあれ、この僅差には驚いた。4月初めの世論調査では両陣営の差は縮小したものの、なお10ポイント内外だった。これほどの僅差では、3分の2の議席を持つ与党の支援こそ得られても、マドゥーロ氏自身の指導力は確実に落ちる。彼は副大統領に、ハバナでの闘病中、チャベスの傍らにあった女婿で、40歳のアレアサ暫定副大統領を任命するが、チャベスとの絆を背負うことで自らの指導力不足を補おうとしているようだ。

一方のカプリーレス氏だが、15日夜、抗議のためのcacerolazo鍋を叩いて練り歩くデモ)を招集し、1時間ほどのカラカス市内は騒々しかったようだ。これとは別に、学生らが抗議デモを行い警官隊に投石し、催涙ガスを受けた、などの騒ぎも起きた。CNE が全票再集計を約束せぬ限り翌日もcacerolazoを行う、と言えば、マドゥーロ氏はクーデターに備える、として市内への武力動員を呼び掛けた。聊か物騒な展開になっている。

 

だが、カプリーレス氏が無理を通して選挙結果をひっくり返しても、上記の通り、ラテンアメリカでは次期大統領はマドゥーロが既成事実で動いている。付き合い難かろう。国内政治状況を言えば、2015年までは議会で3分の2の壁に阻まれ、23州中20州が現与党の政権で担われており、政権運営には極め付きの難しさが眼に見えている。

第一、ひっくり返せまい。暴動に発展すれば、その責任を問われ逮捕される恐れもあろう。素直に考えると、それこそ彼を支える民主統一会議(MUD)の足腰を鍛え、20159月の議会選での勝利が第一だろう。その日まで2年半も無い。その間に、現時点で国会に議席を有する政党だけでも11もあるMUDでの指導力を確かなものにする。MUDは何しろ、右から左まで政治姿勢は広い。ブラジルのルラ前大統領をモデルにする、と言い切る以上、彼の政治的立ち位置は中道左派となる。その彼が、MUDを一つに纏め挙げるだけでも、相当なエネルギーが必要だ。

 

お互いを中傷誹謗し合う選挙戦だった。チャベスの魂が小鳥の形をして自分を励ましている、とか、自分に対する暗殺謀議の発覚とかの奇妙な発言の一方で、チャベス路線の踏襲、と言う以外に具体的政策を語らずに選挙戦を済ませて来たマドゥーロ次期大統領。確かに治安対策、インフレ退治、貧困層支援、など具体的な政策課題を述べるが、一方で対キューバ援助の年40億ドルを国内問題の解決に充てる、など外交の継続性を無視、一方で相手のマドゥーロ暫定大統領の能力をこき下ろす非礼さで応じ続けたカプリーレス候補。

選挙戦が終わった今、一日も早く不安定な状況に終止符が打たれ、次に進むことを祈りたい。

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