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2012年4月15日 (日)

第六回米州サミットに思う(1)

414日、米州サミットが、人口90万人のカリブ沿岸都市、カルタヘナで開催された。1994年の第一回から18年経って六回目、主催国は米、チリ、加、アルゼンチン、トリニダードトバゴ、そして今回のコロンビア、と回って来た。2004年にメキシコで開催された臨時サミットを含めると七回目、となる。

米国大統領に眼を向けると、政権発足したての年のサミットはブッシュ第一政権の2001年の第三回、そしてオバマ現政権の第五回、大統領選挙の年に開催されるのは、ブッシュ第一次政権下の2004年の臨時サミット、及び今回の第六回、となる。いずれもスパンは、前回サミットから通常の4年ではなく、3年だ。 

本ブログでも取り上げた(http://okifumi.cocolog-wbs.com/blog/2009/04/post-4db0.html)同様、首脳でサミット参加が認められない国キューバ問題が、今回新たに提起された麻薬合法化と共に、大きなテーマとなっている。キューバはその後、米州機構(OAS)除名措置が解除された(http://okifumi.cocolog-wbs.com/blog/2009/06/oas-fcd4.html)し、在米キューバ人の送金と里帰り回数の規制も撤廃された。だが、OAS復帰は実現していない。復帰させるには、20019月のOAS総会で採択された米州民主主義憲章に、キューバも署名する必要がある、との米国の強い姿勢、更にキューバ自身にOAS復帰の意思が希薄なことが理由として挙げられる。なお、この憲章が適用されたのは20096月末にクーデターでセラヤ大統領を追放したホンジュラスに対して、であり、同じく除名措置が採られ、115月末のセラヤ氏帰国が実現して直ぐ、解除されている。

今回サミットに欠席したのは3名、いずれも米州ボリーバル同盟(ALBA)加盟国の首脳たちだ。ALBAの第11回サミットが2月に開催された折、キューバが米州サミットに招かれない場合、加盟国は同サミット欠席を検討する、としていたが、この立場を貫いたのが提案者でもあったエクアドルのコレア大統領である。主催国コロンビアのサントス大統領の説得により出席の返事を出したベネズエラのチャベス大統領は、226日の癌摘出手術後の放射線治療を受けるため、14日の当日、約2週間の滞在予定でハバナに向かった。本人は、出席したくとも医師団が認めてくれない、とは言っている。そしてニカラグアのオルテガ大統領。これを書いている今の段階では理由は不明だ。結局キューバを除くラ米(旧英仏蘭植民地諸国も除く)ALBA加盟4ヵ国で出席したのは、ボリビアのモラレス大統領のみとなった。サミット開催直前までヒラリー・クリントン米国務長官に今回サミットへのキューバ招待を強く迫っていた。 

サントス大統領はサミット開会式スピーチで、オバマ大統領他を前に、キューバに対する孤立化、経済制裁政策、無関心は、今や時代錯誤であり、次回のサミットにもキューバが欠席する事態は受け容れられない、と述べた。コロンビアは南米では珍しい米国の同盟国的な存在であり、米国にとっては重い発言だろう。サントス氏には、ハバナとワシントンの橋渡し役を務める意思もありそうだ。最初にオルギン外相、次には自らがハバナに飛び、ラウル・カストロ氏を米州サミットに招待できなくなった旨を直接説明している(この際、現地に居たチャベス氏に対する説得も行った)。

会議の外では、ALBAが組織としての声明を出し、次回サミットでキューバが招かれない場合、ALBA諸国は以後の米州サミットには参加しない、と言明した。モラレス大統領は、キューバ抜きの米州サミットは、今回が最後、と言い切る。キューバが非民主主義国家だから招くわけにいかない、と主張する米国について、彼は34ヵ国の内の32ヵ国が招くべき、と言うのに、極めて非民主主義的で専制的、と痛烈に皮肉っている。招待に反対、と言うのは、米国だけではない。私は今回の外電の報道を追いかけていて初めて知ったが、カナダも反対の立場だ。ともあれ、全会一致でなければキューバ首脳招請は不可能だ。オバマ大統領は、会議前には、キューバが出席しないのは米国ではなく、キューバに問題があるから、と指摘していた。

この種サミットでは必ず、決議文書が作成され、首脳全員が署名する。今回は貧困、治安、天然災害、技術交流、米州の物理的統合、などがテーマとして設定されており、事前の外相会議で中身の煮詰めが行われていたが、幾つかの国では、キューバ問題が決議文書に織り込まれなければ、署名しない首脳が出てくる、という声もあった旨伝えられる。 

今回サミットではオバマ大統領を護衛するため待機していたSPの内の11名、及び米南方軍将校5名が、買春容疑で追放された。直ちに補充されたので大統領護衛上の問題は無いが、オバマ氏にとっては不名誉な事件だ。ついでながら、日本でも小さく報道されたが、反米勢力の犯行、と見られる小規模爆破事件が3件起きている。被害は無いそうだ。

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