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2011年12月 4日 (日)

ラテンアメリカ・カリブ共同体の誕生

第三回ラテンアメリカ・カリブ諸国サミット(CALC20102月の第二回目についてはhttp://okifumi.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/post-769d.html及びhttp://okifumi.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/post-ffa0.htmlご参照)が1223日、カラカスで開催され、ラテンアメリカ・カリブ共同体(CELAC)発足のための「カラカス宣言(関心のある方はwww.celac.gob.ve/をご覧頂きたい)」が採択された。

CELACの性格付けについては、チャベス・ベネズエラ、コレア・エクアドル、カストロ(ラウル)・キューバ各首脳は米州機構(OAS)から米国とカナダを除外した機構に発展することを期待する。OAS1964年にキューバを追放し、82年のマルビナス領有権に関わるアルゼンチンと英国との戦争、米軍による83年のグレナダ侵攻、89年のパナマ侵攻で、いずれにも中立的立場をとった。彼らには、正しく米国の言いなりに映る。チャベス氏はベネズエラの内政に幾度も干渉した、と言うし、コレア氏は米州人権委員会が言論の自由を犯そうとしている、という非難を受けて間もなくであり、ワシントンに結びついたものではないラテンアメリカだけのものが欲しい、述べる。そしてCELACの誕生はここ200年で最も重要な出来事、と踏み込む。いずれも実態はOAS無用論だ。

だが、概ねルセフ・ブラジル大統領らが述べる域内開発や紛争解決に貢献できる地域フォーラムとして、OASとは共存するものになろう、と言うのが大半の指導者の見方だ。共同体を構成する33ヵ国夫々が異なる利害を持つ以上、最大公約数で物事を決めて行くことが現実的なのも事実だろう。インスルサOAS事務総長自らCELAC誕生を歓迎しており、サントス・コロンビア大統領はOASとの対立は無い、と言明する。CELACには常設事務所は無い。事務局の任に当たるのは、1年ごとの持ち回り議長国だ。実態としてOASのような強力な組織にも成りえない。

最初の議長国としてチリが選ばれた。その次はキューバで決まった。この両国がベネズエラと共にトロイカ体制で、最終決着に至らなかった事項について協議して行くことになる。 

今回サミットには、33ヵ国全ての首脳が出席したわけではないが、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、コロンビアと言ったラ米主要国は殆どが出席した。開催国がベネズエラであることから、少なくとも米州ボリーバル同盟(ALBA)加盟8ヵ国の首脳は、全て出席したと思われる。私には個人的にカストロ(ラウル)議長の姿が眼を引いた。

開会式でチャベス大統領はラテンアメリカの統一(Unidad)を繰り返し、統一こそが真の独立、真の自由に繋がる、と述べた。これに呼応する形でカルデロン大統領は、ボリーバルが1830年の死の直前に「指導者らは(ラテン)アメリカ統一に向かって働き続けよ」と発した言葉を引用し、自らもかかる統一を希求する、と述べ、一方ではオルテガ・ニカラグア大統領が、域外の干渉は認めない、今こそモンロー宣言に死を、と発言している。だが、地域最重要国と誰もが認めるブラジルのルセフ大統領は、統一に関わる切り口が違った。ギリシア問題に端を発する世界規模の金融危機に対処できる共同戦略を重要視する。地域経済力の強化には一致した経済政策が不可欠、というものだ。

CELACを一つの統一体としてみると、総人口5.5億人、総面積2,050万平方キロ、内、半分が森林、湿地で、世界の淡水の3分の1を有する。食料の世界生産、石油埋蔵量では世界一だ(以上、ロイター通信)。GDP6兆㌦で日本を凌ぐ。それでも米国の半分以下だ。ただCELACは欧州連合(EU)と異なり、経済共同体ではない。だから経済力で欧州連合(EU)や米国、或いは日本と比較しても意味合いは小さい。それでも、国際経済問題での結束は重要だろう。 

主宰したチャベス大統領にとって、6月以降健康問題でほぼ空白に近かった外交舞台への復帰を示す華々しい行事となった。12月にブエノスアイレスを訪問する。外交のための外遊は、半年ぶりだ。

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