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2011年11月 4日 (金)

「サミットが多過ぎるtantas cumbres!」

去る102829日にアスンシオンで開催された第二十一回イベロアメリカサミット。これに欠席したフェルナンデス・アルゼンチン及びルセフ・ブラジル両大統領は、1134日に行われたG20カンヌサミットには出席した。何しろG2019ヵ国プラス欧州連合)を構成するのはG8を除くと11ヵ国のみ。国際的主要国の集まりで、旧宗主国のスペインもポルトガルもG2019ヵ国には含まれない(スペインは今回G20サミットの招待国)。ラテンアメリカ19ヵ国でここに入れるのは僅か3ヵ国。ところが、そのサミットは、ギリシャのパパンドレウ首相が、欧州首脳が夜を徹して纏め挙げた同国への支援策を巡り、国民投票実施を発表したり撤回したりで振り回された欧州事情により、すっかり色褪せていた。 

本ブログで第二十回イベロアメリカサミットを取り上げ、その際指摘したが(http://okifumi.cocolog-wbs.com/blog/2010/12/post-2965.html)、これも次第に色褪せつつある。格調高く纏め挙げたアスンシオン宣言に、どれだけの「首脳」が携わったか、私には疑問だ。何しろ、スペインからはフアン・カルロス国王とサパテロ首相、ポルトガルからはカヴァコ・シルヴァ大統領及びパソス首相が夫々2人揃って出席したのに、ラテンアメリカ19ヵ国で首脳が出席したのは8人のみ。

少ない出席者の一人、コレア・エクアドル大統領は、自らの国を批判された、として世銀副総裁のスピーチを途中で退席、その後世銀を激しく批判した。またモレロス・ボリビア大統領は帰国後、スペインによるアビャ・ヤラ(アメリカ大陸を指す先住民の用語)侵略への抵抗を歴史に持つラテンアメリカ先住民から見ると、スペイン国王の出席には抵抗がある、と公言する。ピニェラ・チリ大統領も、途次立ち寄ったウルグアイでのムヒカ大統領(イベロアメリカサミット不参加)に、「サミットが多過ぎるtantas cumbres!」と苦情を言っていた。

イベロアメリカ終了後、南米諸国連合(Unasur)へとサミットが続いた。前者に欠席したフェルナンデス、ルセフ、ムヒカ各大統領及びチャベス・ベネズエラ、サントス・コロンビア両大統領は、後者も欠席した。両サミット主宰者たるルゴ・パラグアイ大統領の思いは、如何ばかりだったことだろうか。癌摘出手術からキューバで3回、ベネズエラで1回の化学療法を受け、体調が順調に回復している、と語るチャベス大統領が、122-3日に、第三回ラテンアメリカ・カリブサミットをカラカスで主宰する。http://okifumi.cocolog-wbs.com/blog/2010/02/post-ffa0.htmlでお伝えしたが、ラテンアメリカ統合に熱心な同大統領にとっても、「ラテンアメリカ・カリブ共同体(CELAC Comunidad de Estados Latinoamericanos y Caribeños)」創設のための重要な会合だ。米国抜きの米州統合は、彼の生涯を掛けた夢のようでもある。 

なお、サミットが多過ぎる、とぼやくピニェラ大統領のチリは、実はその他の南米諸国に比べサミットは一つだけ少ない。アンデス共同体(ANC)にもメルコスルにも加盟していないためだ。私には、これが多少の政治・社会統合を追加した形での合体が、即ちUnasurと理解している。チリは既に、言うなれば経過的南米統合体に加盟しており、最終統合体となるANCとメルコスルの合体を、ただ待てばよい、との理解だ。

しかし、仮にUnasurEU型統合体になり、通貨まで統一されるとなれば、今般のユーロ圏危機から多くを学びとらねばならない。僅か12ヵ国だが、カントリーリスクレーティングで見れば、域内格差はユーロ圏以上だ。国の規模はブラジルの2億人とガイアナ、スリナムの規模とでは、凄まじく異なる。ギリシャのような単一国民であの状態だ。多民族社会で国民統合度が比較的低く、EUに比べ貧富差も、何より、民主主義の浸透度も大きく異なる。 

Unasurでは不十分、米国が影響力を及ぼそうとする米州機構(OAS)の米州サミットから脱却し、CELACで纏まりたい、と思うのはチャベス大統領だけではなかろう。ただ、米州サミットは4年に一回だけなので、サミットが多過ぎる、とぼやくことはあるまい。チリは環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の加盟国でもあり、更にはペルーと並びアジア・太平洋経済協力(APEC)もあり、こちらのサミットも、頻度的に米州サミットより多い筈だ。ピニェラ大統領が言いたいのは、サミットよりは統合への意志の方が重要、との一点に限られ、その意志が具現できないサミットは、整理すべき、代表的なのが、毎年行われるイベロアメリカサミット、との思いではなかろうか。

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