« ホンジュラスの大統領再選への道 | トップページ | ラテンアメリカとアラブ民主化(1) »

2011年2月 1日 (火)

南米・アラブサミットについて

114日のいわゆるチュニジア革命(23年間、政権を担ってきたベンアリ大統領追放)に続き、今日21日段階でも、エジプトで30年の政権にあるムバラク大統領への退陣要求デモが繰り返され、メディアを賑わす。このような状況下で、213日、第三回目となる南米・アラブサミット(Cumbre América del Sur-Países Árabes、略称ASPAを主催するペルーのガルシア大統領がやきもきしている。

ASPAとは、2003年、ルラ・ブラジル大統領(当時)が提唱したもので、南米諸国連合(UNASUR)加盟12カ国と、パレスチナを含むアラブ連盟加盟22カ国で構成される。第一回目は、20055月、ブラジリアで開催された。20093月にドーハで開催された第二回サミットでは、丁度真っ只中にあった世界金融危機に対する途上国乃至新興国同士の政治・経済協力の重要性の認識で一致し、またパレスチナの主権確保への協力も打ち出された。最近、南米諸国は次々にパレスチナ承認に動いている。

南米の対ラ米域外サミットには、2006年にナイジェリアで第一回会合を持った南米アフリカサミットがある(20099月、ベネズエラのマルガリータ島で開催された第二回会合についてはhttp://okifumi.cocolog-wbs.com/blog/2009/09/post-c14b.html参照)。第三回目はやはり本2011年、リビアで会合が持たれる。こちらの方は、アフリカ側が55ヵ国(但しアラブ連盟とも重複する国も有る)だ。「南南協力」を歌い、その第二回会合ではNATO(北大西洋条約機構)に対抗する軍事機構までもがテーマに上がった。

さて、南米・アラブサミットである。モロッコ、サウジアラビア、ヨルダン、クエート、カタール、オマーンのように王制、首長制を採る国は多く、共和制を採る十数ヵ国には、上述のエジプト、チュニジアの他、カダフィ・リビア(41年)、アルバシル・スーダン(22年)、アブドラ・イエメン(21年)各政権など長期強権化した国が多い。シリアのアサド大統領は、30年の長期政権を担った父親を継いで、既に10年経った。現在民主化の途上にあるイラクも2003年まで24年間のフセイン独裁政権下にあった。

19447月、グァテマラで当時のウビコ、或いは19581月、ベネズエラのマルコス・ペレスの両独裁政権が、民主化運動により崩壊した。今般の「チュニジア革命」を想起する動きだった。このブログでも何度か指摘したが、この2ヵ国は建国以来、個人独裁が目立つ。グァテマラは大統領の再選そのものを禁じる憲法が今も有効で、一方のベネズエラでは長く連続再選を禁じて来たが、チャベス大統領になって無制限多選が認められるようになった。ラテンアメリカでこんな国は、共産党一党独裁のキューバを除き、姿を消して久しい。アラブ連盟では、アルジェリアが従来二期10年までだったが、三期も認められるようになりブーテフリカ大統領が任期を全うすれば、政権期間は15年間、となる。それでも、民主度はアラブ連盟の中では高い方だろう。ベネズエラを除いて、ラテンアメリカのどこにも考えられないことだ。

シリアは、アラブ連盟の中ではスーダンと共に米国からテロ支援国家指定を受けている。同じ扱いの北朝鮮と似ているのが、最高権力者の親子間継承だ。ラテンアメリカではキューバも同じ扱いで、こちらはカストロ兄弟間継承である。親子継承で歴史的に有名なのはニカラグアのソモサ家で、父親が20年、息子二人が計23年間だった。結果は、1979年の革命である。南米でも十九世紀にはパラグアイのロペス親子(父が22年、息子が8年)の例がある。結果は、国家破滅的敗戦を招いた「パラグアイ戦争(三国同盟戦争)」である。ニカラグアでは現在オルテガ大統領が連続再選復活に向かう一方で、パラグアイは1989年までの35年間に亘るストロエスネル長期政権への反省から、グァテマラ同様、再選自体を禁じる。ただ、親子間、或いは兄弟間の権力継承は、アラブ世界でも例外だろう。

フィデル・カストロ前キューバ国家評議会議長が最高権力者の座にあったのは、47年間にもなる。彼は革命を起こした人だ。その意味ではリビアのカダフィ大佐も同様だ。相変わらず政党を認めない独裁体制が続いており、やはりアラブ世界でも例外的存在と言える。同国は対米関係改善に努めた結果、テロ支援国家指定は外された。キューバとは大きく異なる。南米諸国には、チャベス・ベネズエラ大統領のみならず、モラレス(ボリビア)、コレア(エクアドル)、フェルナンデス(アルゼンチン)、ムヒカ(ウルグアイ)大統領は親カストロで知られる。ルラ・ブラジル前大統領もそうだった。

米国は、キューバが民主的でないから、という理由で、半世紀にも及ぶ制裁を続け、国交を断絶させたままだ。南米諸国は、まるで気にしていないように見える。自分たちが非民主的だから、と言う訳ではない。左派系だろうが中道左派だろうが、複数政党制を採り、選挙で政権を勝ち取るという意味では米国と同じ民主主義だ。だが他国の政治体制をあげつらうことは控える。これがアラブ諸国との政治文化の違いを越える親近感に繋がっているのだろう。ブラジルが推し進めるだけに、チリやコロンビアの右派系政権も、そしてペルーも、アラブ連盟との関係強化に努めている、という構図に思える。

|

« ホンジュラスの大統領再選への道 | トップページ | ラテンアメリカとアラブ民主化(1) »

南米」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ホンジュラスの大統領再選への道 | トップページ | ラテンアメリカとアラブ民主化(1) »