コロンビア議会選挙
3月14日にコロンビアで議会選挙が行われた。ところが一週間経った今も最終結果が出ていない。わざわざ民間に委託した開票管理システムが上手く作動しなかった、と言い、委託先を変えて開票作業をやり直した。選挙管理委員会の失態である。
今回の議会選は、60%を超すウリベ支持率が与党にどのように反映されるか、という意味で私個人は注目していた。昨年12月のチリ選挙では80%を超えるバチェレ前大統領の高支持率にも拘わらず、野党が勝った。コロンビアの場合は、与党系議員の数十人が一般市民虐殺などで非難される「コロンビア自警連合(AUC)」との関係で騒がれる、いわゆるパラポリティック・スキャンダルという逆風の中にいた。2008年4月22日までに逮捕された議員は、33人にも上る。上下両院合わせて264名を分母と見れば分かるが、大変な人数だ。この中にはウリベ大統領の従兄弟に当たる下院議長や、アラウホ外相の兄が含まれる。さらに大統領の「国民社会統合党(’la U’)、以下統合党」総裁もAUCとの不適切な関わりが捜査され、総裁辞任に追い込まれた。
選挙結果は出ていないが、それでも統合党は単独でも上下両院で4分の1議席を確保、連立相手の保守党も伸ばした模様だ。最大野党の自由党は議席数を維持したものの、パラポリティックス攻撃で活発に動いたもとゲリラのM-19の流れを引く「民主代替の極」(PDA)は、大きく減らしたようだ。つまり、ウリベ与党が勝った。最終結果を待たず、メディアの関心は5月に行われる大統領選に向かっている。
議会選挙は同時に各党の大統領候補も選出する。統合党はサントス前国防相(58歳)で一本化していたが、保守党は複数だった。結局、サニン前駐英大使(60歳)に決まった。5月の選挙に立候補する人は8名で、前回2006年選挙では一本化したウリベ陣営が二人に分かれていることから、誰も過半数獲得はできない、と見るのが一般的だ。どちらか一人が決選投票に進む場合は、他の一方がその支持に回り現与党体制が続く可能性はあるが、二人が一、二位となった場合、6月の決選投票で合い争えばどうか。前者の場合でも、敗れた方が野党候補支持に回ることも無いとは言えまい。
サントス候補は国防相として、国民の熱狂的支持を受けウリベ人気を高めた2008年7月のFARC人質奪還作戦(元大統領候補を含む15人を救出)の直接最高責任者だったこと、加えて、統合党の結成を主導したことで、ウリベ陣営の代表格だ。元々は彼の家族経営のエルティエンポ誌の経営に関わり、コラムニストとして活躍した人で、国防相というイメージからは遠い。国連の通商・開発委員会に関わった国際通でもある。
サニン候補は30歳台でベタンクール政権(1982‐86)の通信相を務めた。またガビリア政権(1990-94)でも外相を務めた。いずれも自由党政権だった。ところが12年前の大統領選に独立候補として立候補し、得票率26%を得て一躍注目され、決選投票では第一回目投票で第二位の保守党パストラナ候補を「コロンビアのための大同盟」として支持、彼の勝利に大きく貢献した。2002年も出馬したが得票は6%にも満たなかった。だから今回は三度目の挑戦で、しかも保守党からの立候補、となる。