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2010年3月 8日 (月)

ヒラリーのラテンアメリカ6ヵ国歴訪

やや旧聞に属するが、米国のクリントン国務長官が31日から5日まで、ウルグアイ、アルゼンチン、チリ、ブラジル、コスタリカ及びグァテマラ6ヵ国を歴訪した。医療保険制度改革など内政で多忙なオバマ大統領の名代と言う訳ではなかろうが、この人は行く先々で国家の最高指導者との会談をこなす。今回も5日間の歴訪で当該6ヵ国の大統領の他、10ヵ国の首脳と会っている。

ウルグアイでは31日、ムヒカ新大統領の就任式に出席した。ルラ・ブラジル、フェルナンデス・アルゼンチン、ルゴ・パラグアイ、チャベス・ベネズエラ、モラレス・ボリビア、ウリベ・コロンビア、コレア・エクアドルの7ヵ国の指導者が顔を揃えていた。個別会談とテーマについては、残念ながら分からない。ムヒカ大統領との会談ではウルグアイ民主主義は域内の手本になる、と讃え、長期政権に固執し反米言動を繰り返すチャベス・ベネズエラ大統領をやんわり批判したことが伝えられる。

同日の午後、もともと予定していなかったアルゼンチン訪問では、モンテビデオでの大統領就任式で一緒だったフェルナンデス大統領と会談し、マルビナス(フォークランド)領有権に関わる米国の支援要請を受けた。既に国連事務総長に対英調停を依頼しているが、国連は当事国双方の依頼でなければ動けない旨を伝えられており、イギリスに影響力のある米国の仲介の労を期待したものだ。3年前の選挙期間中、「南米のヒラリー」と言われたフェルナンデス大統領の現在の国民支持率は高くない。中銀が持つ準備金を特別基金に移し替え債務返済に充当する政策を巡り、昨年央の中間選挙の結果陥った少数与党の議会で強い反対を受け、苦慮してもいる。

32日午前、チリに向かった。2月末に大地震に見舞われ、ムヒカ就任式に参列できなかったバチェレ・チリ大統領とは、米国としての被災支援への取り組み表明など、お見舞い以上の話は無かったようだ。また、ピニェダ次期大統領を紹介されている。スペイン系ラテンアメリカ18ヵ国のもう一人の女性大統領である彼女は、311日に退任する。その半月前に襲った大地震で、甚大な被害を出した津波の警報を出さなかった大失態、災害地での救援活動の遅れや来たした治安悪化などで、政府に対する国民の不満が沸騰している。その向け先はどうしても、つい最近国民支持率が8割だった彼女になる。

32日夜、サンティアゴから到着したブラジルでは、同国がイラン制裁に否定的でしかも国連安保非常任理事国ということで、米国との共同歩調をとるよう説得するのが主眼だった、とされ、ルラ大統領とも会談の場は持ったが、突っ込んだ協議はアモリン外相との間で行われた。ブラジルは、アフマデネジャド・イラン大統領を招いて二国間関係の強化で合意したばかりで、近くルラ大統領が同国を訪問する。非核宣言を行った19672月のトラテロルコ条約批准国で、核武装は放棄しており、イランにもそれを求める、国際社会の制裁は逆効果、との立場だ。結局、話は平行線を辿った。

34日にはコスタリカに寄り、昨年628日に起きたホンジュラス政変で調停役を務めたアリアス大統領と会談した。同国のOAS(米州機構)復帰問題を話し合い、またチンチーヤ次期大統領とも会談している。そして35日にグァテマラに入った。勿論、コロム大統領との個別会談も行ったが、同地にはオルテガ・ニカラグア大統領を除くSICA(中米統合機構)加盟国とドミニカ共和国の計7ヵ国の首脳が集まっていた。何より、ロボ・ホンジュラス大統領が参加していた。彼にとっては、初めての首脳会議出席だ。ロボ政権を承認するラテンアメリカ諸国は、左派だろうが右派だろうが、まだ一部に過ぎない。ついでながらドミニカ共和国在住のセラヤ前大統領は同じ日にカラカスを訪問、翌日チャベス大統領から、カリブ海域諸国への石油供給を行う機関であるPetrocaribeの政策評議会の主席顧問として迎え入れられた。同大統領は、政治活動を認めた上でのセラヤ帰国がホンジュラスとの関係正常化の基本、として譲らない。

ところで、コロンビアとメキシコに挟まれ対米麻薬密輸ルートとして、最近米国で注目されてきたのが中米だ。グァテマラでの会談ではホンジュラス問題に加え、麻薬問題解決のための多国間協力が重要テーマだった。彼女のグァテマラ訪問直前、麻薬対策の任に当たる政府責任者と警察幹部が麻薬汚職で逮捕されていた。ここで彼女は麻薬問題の責任の一端が米国にこそある旨を率直に語っている。国務長官就任後、最初の訪問国メキシコで、米国からのメキシコ麻薬組織に対する武器の密輸を止める責任は、米国にある、と踏み込んだ発言をした人らしい。

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