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2010年1月18日 (月)

チリの政権交代

117日に行われたチリの大統領選決選投票で、野党連合「チリのための同盟(以下「同盟」)」ピニェラ上院議員が、第一次選挙の44%の得票率を8ポイント伸ばし、当選を決めた。フレイ元大統領陣営はピニェラの金権を批判し、また今なお80%の国民支持率を誇るバチェレ大統領が右派政権への疑念を公言し、第一次敗退のオミナミ候補が終盤でフレイ支持を明らかにしても、当選した。民主的手続きを経た右派政権の誕生は52年ぶりだ。大統領はピニェラ候補の勝利が確定するとすぐさま本人に祝意を述べた。

この国では1970年に、同じように民主的手続きをとって社会主義政権を誕生させた。73911日にピノチェト将軍によるクーデターで崩壊し、ラテンアメリカで民主主義が最も深く根付いたこの国に、人権侵害ではアルゼンチンと並ぶ暗く長い軍政が襲いかかった。ピノチェト軍政に関わったとされる勢力が1983年に創設した独立民主連合(UDI)と1987年創設の国民革新党(RN)によって構成される「同盟」だが、内政面では、公約した国営産銅会社CODELCOの一部民営化などを除くと、与党連合のコンセルタシオン(諸党連合、以下「連合」)と政策に違いが見え難い。その意味で安心感が有る。ピニェラ次期大統領は勝利宣言の中で、良い国を築き上げるためには健全野党の存在は不可欠、と「連合」にもエールを送ると共に、ピノチェト政権関与者は政権から排除する旨を言明した。

外交面では、バチェレ大統領が一線を画しながらも友好関係を維持してきたベネズエラのチャベス、ボリビアのモラレス両大統領がどう出るか、注目したい。少なくともボリビアの太平洋への出口を巡る問題で早速暗い影が掛り始めた。対ペルー関係については、ガルシア大統領がピニェラ歓迎の姿勢を示しているにせよ、海上の国境線問題は根が深く、一気呵成の改善とは行くまい。対ホンジュラス関係は、一週間後に発足するロボ政権を承認するラテンアメリカ諸国の少数派の一つになるのかどうか、これも注目点だ。一方でその他の南米諸国、及び米国とは従来通りの好関係を維持していくものと思う。

民主主義に対する価値観を米国と共有してきたチリは、第二次世界大戦後ずっと親米国だった。現中道左派の「連合」政権でもそれは変わらず、加えて経済政策は米国の新自由主義に近いピノチェト政権時代からの市場主義を踏襲してきたし、アンデス諸国で真っ先に自由貿易協定(FTA)を取り決め、発効させている。ピニェラ次期大統領は、所得倍増を公約とする。一人当たりのGDPが既にラテンアメリカ随一であるだけに、大変野心的な公約、と言えよう。

南米10ヵ国で右派政権はコロンビア1ヵ国だったのが、今後2ヵ国となる(私のホームページ「ラ米の政権地図」http://www2.tbb.t-com.ne.jp/okifumi/C3_1.htm#1参照)。

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