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2009年1月 9日 (金)

2009年のラテンアメリカ選挙

2008年、ラ米十九ヵ国(イベロアメリカ。旧スペイン・ポルトガル植民地諸国)の内、4ヵ国で政権交代(グァテマラ、キューバ及びパラグアイ)、及び連続再選(ドミニカ共和国)があり、私のホームページにあるラ米の政権地図http://www2.tbb.t-com.ne.jp/okifumi/CI3.htmに述べる現在の政権が揃った。2009年にはエクアドル(2月)、エルサルバドル(3月)及びパナマ(5月)の3ヵ国で大統領選が行われる。加えて、ボリビアでは1月下旬、憲法改正のための国民投票もある。またベネズエラでもチャベス大統領が2008年末、大統領の無制限再選を認めた憲法改定案を20092月に再び国民投票にかけたい、との強い意向を示した。

面積でラ米最小国のエルサルバドル。中米六ヵ国で唯一大西洋への出口を持たない。人種構成上、白人と先住民との混血、メスティソが9割を占める(CIAデータ)。197080年代の内戦時代、多くの国民が難民となり、以後アメリカに住み着いた同胞とその家族は200万人を超える、といわれる。コーヒーとアメリカ向けを中心とする加工業、加えて在米同胞からの送金を経済の基盤とする。2001年から通貨も米㌦になった。1989年以降、国民共和同盟(ARENA)という右派政党が政権を担ってきた。次の94年選挙からは野党第一党で左派のファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)が推す候補との事実上の一騎打ちで、ARENAが勝利するパターンで推移してきている。ARENAは、81年にタカ派で知られる元軍人が創設した。その当時、FMLNが反政府左翼ゲリラとして活動していた。内戦時代が終結し、FMLNが武器を捨て合法政党となってから、この左右両陣営が選挙で激突するようになった。与野党の候補者は;

l       ARENA:ロドリゴ・アビラ(44歳)。国家警察長官出身

l       FMLN:マルリシオ・フネス(49歳)。ジャーナリスト出身

アビラ氏が歴代のARENA政権下で若くして国家警察の要職を担ってきたのに対し、野党候補のフネス氏は党員活動が無く、ゲリラ出身でもない。最近の世論調査によれば、初めての与野党交代が現実味を帯びている。

人口ではラ米最小、面積ではエルサルバドル、コスタリカに次いで三番目に小さい国、パナマ。運河と自由港、及びオフショア金融が特徴で、サービス部門のGDPに占める比率は77%にもなる。人種的にはメスティソが7割、また黒人系混血が多い(いずれもCIA資料による)。1930年にクーデターを起こした文民政治家アルヌルフォ・アリアス、それから38年も後に軍事クーデターを起こした軍人のオマル・トリホスという二人の指導者が、今日の二大政党、パナメニスタ党(アルヌルフィスタ党)と民主革命党(PRD)の基を築いた。この国の事実上の民主化達成は、ノリエガ将軍による政治支配が8912月の米軍侵攻によって終った90年1月初め、と言えるが、以後両党が5年ごとに政権交代を繰り返している。二人ともナショナリズムを奉じるが、77年に対米運河返還条約に漕ぎ着けたトリホス将軍の方が目立つようだ。今年選挙ではパナメニスタ党も候補を出すものの、今のところ;

l       PRD:バルビナ・エレラ(55歳)。前住宅相。現党首

l       民主改革党(CD):リカルド・マルティネリ(56歳)。党首。元運河局議長

の二候補の一騎打ちになろうとしている。

ベネズエラと並んでOPECメンバーの一角を占めるエクアドル。大西洋に出口無く、通貨が米㌦と言う点でエルサルバドルと似る。人口の4分の1が先住民、3分の2がメスティソ(CIA資料による)で、経済的には石油に加えバナナと水産物の輸出が有名だ。1980年代の債務危機を経て政治が不安定化した。特に96年以降僅か10年半で、現コレア大統領は、暫定、臨時を含めると、第7代目として就任した。昨年9月、新憲法草案の賛否を問う国民投票が実施され、63%の賛成を得た。同国でもラ米で一般的な大統領連続再任禁止を憲法でうたってきたが、これを解禁する条項が盛り込まれている。本年2月に、早速新憲法下での総選挙に臨むことになる。1999年にベネズエラのチャベスが、また92年にペルーのフジモリが採った道である。コレアの与党「国民同盟」(PAIS)は事実上国会を代行している制憲議会130議席中80議席を占める。総選挙で、国会議席が決まる。コレアが大統領に選任され、PAISが彼の安定基盤で有り続けられるかどうか、注目したい。

選挙ではないが注目すべき国民投票が本年1月に行われる。ボリビアの、やはり大統領の連続再選禁止を解禁する憲法草案の賛否を問うものだ。今やベネズエラのチャベスの盟友として反米言動が目立ち、またキューバのフィデル・カストロへの尊敬を隠さないモラレス大統領自身が創設したのが「社会主義運動(MAS)」。政治思想を前面に出し、二度目の大統領選で当選した。国内の、特に基幹輸出産品の天然ガス生産地を押さえる地方の反モラレス行動を抱え、幾度の政治危機を乗り切った彼にとって、重大な政治イベントとなる。

ところで、一昨年12月、ベネズエラでは大統領の連続再選回数の制限を撤廃する憲法改正の国民投票が行われたが、この時は否決された。果たして本年2月に再度国民投票にかけることになるのだろうか。

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